牧場の少女カトリ各話紹介（４１

あらすじ

　カトリは、かごに入れて荷物車に乗せられたアベルの様子を見に行った。車掌に、客車に連れて行きたいとお願いするが、車掌は規則と言って聞いてくれない。すると、アベルは客車へ逃げ出した。カトリが追いかけていると、ヘルシンキからトゥルクへ向かっていたアッキに出会った。アッキは新聞記者になっていて、もう逮捕される心配はなかった。カトリは、エミリアをアッキに紹介した。カトリは、アベルと客車の外のデッキにいることにした。カトリには、エミリアとアッキはとてもお似合いのように思えた。トゥルクの駅に着くと、アッキとはそこで別れた。
　カトリは、エミリアにリラク邸まで馬車で送ってもらった。そこはカトリが見慣れている田舎の建物ではなく都会風の邸宅で、今日からこの屋敷で新しい生活が始まるかと思うとカトリは緊張して玄関に向かった。しかし、ロッタは、ロッタはちょうど散歩中で不在だった。カトリは、応対に出たセルマに連れられて、ロッタのおばイーネスのもとに案内された。そしてイーネスは、カトリが何も知らない田舎娘だと思って、カトリに、自分がこの屋敷を切り盛りしていること、言葉遣いや礼儀作法について厳しく注意され、また、自分やセルマの命令には絶対に従わうよう言いつけられた。そこへロッタが帰ってきて、カトリに、イーネスの言ったことは忘れるように言った。イーネスやセルマは、ロッタが勝手にカトリを連れてきたことが気に入らなかった。
　カトリは、自分の部屋に案内された。そこには、ロッタが幼いころ読んでいた本があったので、カトリはうれしくなった。この屋敷には、セルマのほかに、サロモンとノーラの２人の使用人がいたが、カトリを気に入ってくれた。
　この屋敷でのカトリの生活は波乱に満ちたものになりそうだった。

第４２話「絵のない絵本」

あらすじ

　カトリは、夕食まで、クラウスに、アンデルセンの小説「絵のない絵本」を読んであげた。ロッタは、カトリを、この屋敷の者といっしょに食堂で食事をさせるつもりだった。それを聞いたセルマは、びっくりしてイーネスに報告した。イーネスには、食堂からカトリの皿を下げさせた。召使いと主人がいっしょに食事をすることは許せなかった。
　夕飯の時、カトリが食堂に入ったとき、カトリを席に座らせようとはしなかった。しかし、ロッタは、カトリはクラウスの家庭教師だと反論した。イーネスは、クラウスに、カトリは何をしていたか聞いた。クラウスが、「絵のない絵本」を読んでくれたと答えると、イーネスは、絵本を見てでたらめを読んだものと勘違いして笑った。そして、学校にも行っていない、字も読めない小娘を家庭教師とは呼べない、と言った。ロッタが、カトリは字が読めると反論すると、イーネスは、カトリに新聞の論説を読ませた。カトリは、アッキが書いた「今週の論説」をなんとか読んでみせた。さらに、イーネスは、家庭教師なら詩や文学も知っていなければ、というと、カトリは、カレヴァラの一節を朗読した。イーネスは、カトリが食堂で食事をすることを認めるしかなかった。
　食事中、エリアスは、ロッタに、スウェーデンにいっしょに来ないかと誘った。スウェーデンは、刺繍の本場で、ロッタも乗り気で、快諾した。６日後に１か月間のスウェーデン旅行に出発することになった。ロッタは、カトリがクラウスの面倒をみてもらえれば安心だった。しかし、カトリは、ロッタが１か月もいないと心細かった。
　カトリはすっかり疲れていた。ベッドに入るとたちまち眠りに落ちたが、次から次へと夢を見た。夢では、イーネスが、カトリに「字のない絵本」を読ませるのだった。

第４３話「自動車に乗った！」

あらすじ

　翌朝、いつもなら朝の早いカトリも、初めてトゥルクにやって来た疲れですっかり寝坊をしてしまった。ロッタは、カトリを寝かせてあげたが、イーネスとセルマからは、いやみを言われた。
　朝食の時間になったので、外にいたクラウスを呼び行くと、カトリは、サロモンから、玄関に飾るチューリップの花を渡された。セルマに渡すとき、カトリは、食卓に飾ったらと思いついた。カトリには、とんでもないと言ったセルマだったが、食卓に飾ったら、エリアスは気が利いていると喜んだ。しかし、イーネスがセルマの発案だと言ったので、エリアスもそう信じてしまった。それには、カトリは黙って食事をした。
　イーネスは、カトリに、算数もできなければ家庭教師といはいえないと言って、イーネスが作った算数の問題を解くように命じた。カトリは、イーネスの目の前で問題を解いてみせた。朝から頭痛がしていたイーネスは、頭痛がひどくなり寝込んでしまった。
　カトリ、ロッタ、クラウスが公園に散歩に行った帰り、乱暴な運転をする自動車が３人の前に止まった。運転していたのはソフィア先生だった。ソフィアは自動車を運転し始めてまだ３日目だったが、馬車より速く運転しないと自動車に乗る意味がないと言った。ソフィアの自動車で、カトリたちは屋敷まで送ってもらったが、とても乱暴な運転に、クラウスは大喜びだったが、ロッタは青ざめ、カトリも腰が抜けた。カトリが初めて自動車に乗ったのはこの時だった。

第４４話「にくらしい娘」

あらすじ

　ソフィアは、カトリに、「しっかり頑張りなさいね、学校に行ったら一生懸命勉強しなさい。きっとチャンスがやって来るわ。」と励ました。そして、アッキとどうすればカトリを応援できるか考えてみると言ってくれた。
　ソフィアが帰るとき、自動車のエンジンがなかなかかからず、サロモンに手伝ってもらってやっと動いた。自動車もまだまだ馬車よりも不便なこともあった。
　その日の夕食のとき、ロッタ、カトリ、クラウスは、家族のように、自動車やソフィアの乱暴な運転を話題にしながら楽しい食事をした。ロッタは留守中の事がやはり心配なのでした。
　ロッタとエリアスがスウェーデンに行く日がやって来た。港まで見送りに行ったとき、クラウスは、お母さんと一緒に行きたいと言ってロッタを困らせた。ちょうどロシアの元大臣が同じ船に乗るという情報の取材にきていたアッキがクラウスを抱いて船から降ろした。船が出るとクラウスはもう泣いていなかった。
　屋敷に帰って来たカトリは、さっそくイーネスは、自分のために働くように命じられた、最初の仕事は、部屋の掃除だった。カトリは一生懸命掃除を続けた。これから１か月間、どんなに働かされようと自分はちゃんとやってみせると心に誓った。

第４５話「疲れた一日」

あらすじ

　ロッタがいなくなって、イーネスの頭痛はおさまった。カトリは、クラウスのことを気にしながらもイーネスに言われたとおり掃除をした。セルマは、カトリの働きぶりを感心した。イーネスは、ロッタが自分にクラウスの世話を頼まなかったことに不満に思った。そして、なぜ、ロッタはそんなにカトリを信用するのか不思議だった。
　部屋の掃除はイーネスの検査に合格した。しかし、イーネスのところで退屈したクラウスは、外でアベルと遊んでいたが、掃除が終わった時には、クラウスはアベルと一緒に屋敷の外へ出かけていた。カトリとサロモンは公園まで探しに行ったが、広すぎて簡単には見つからなかった。カトリは、公園で３人の少年にクラウスを探してくれるように頼んだ。そのうちのレオという少年が一緒に探してくれた。
　日も暮れて暗くなったなった頃、カトリの前にアベルが現れた。ようやく疲れた眠っているクラウスを見つけることができた。屋敷に帰りついたカトリは、イーネスからクラウスへの不注意をひどく叱られた。
　５歳のクラウスは、夜寝る頃になると、ロッタが恋しくて一人で寝るのをいやがった。仕方なくカトリは自分のベッドでクラウスと一緒に寝ることにした。すっかり疲れたカトリだが、窮屈なベッドでもあっという間に眠りに落ちた。

第４１話 「トゥルクの人々」

第４２話 「絵のない絵本」

第４３話 「自動車に乗った！」

第４４話 「にくらしい娘」

第４５話 「疲れた一日」

第４１話「トゥルクの人々」

第４２話「絵のない絵本」

第４３話「自動車に乗った！」

第４４話「にくらしい娘」

第４５話「疲れた一日」