牧場の少女カトリ各話紹介（３６

あらすじ

　ある日、ロッタは、カトリに、この屋敷を辞めてもっと遠いところに勤めてもいいかと聞いた。しかし、その日は理由を聞けなかった。その日は、カトリは、ロッタの話が気になって、ソリ遊びや算数の勉強に集中できなかった。
　翌日、ロッタは、クウセラ屋敷をビリヤミに売って、トゥルクの実家に帰ることにしたので、カトリもトゥルクに来てほしいと言った。そして、トゥルクでは、仕事だけでなく学校に行かせてくれるつもりだった。カトリは嬉しくて胸がいっぱいになった。ビルヤミとアリーナは、屋敷を買うことをすぐに承諾した。
　ペッカはカトリがトゥルクに行ってしまうのがとても寂しかった。カトリとは、もう２度と逢えないような気がした。ペッカは、自分でも馬鹿らしいことをしているとわかっていたが、カトリをソリに乗せて、何度もソリを引きながら歩く回った。春になればカトリは遠い町に行ってしまう。ペッカは大声で泣きたい気持ちだった。

第３７話「迷子のアベル」

あらすじ

　長い長い冬が終わって春が来た。ロッタとクラウスは、クウセラ屋敷に別れを告げ、トゥルクへと出発した。子猫のミッキーは、ロッタがトゥルクへ連れて行くことにした。カトリは、祖父母に会ってからトゥルクに旅立つことにした。
　クウセラ屋敷では、きょうから、ビリヤミが主人で、アリーナが奥様となった。二人は、カトリから、「旦那様」、「奥様」と呼ばれて、大喜び。ペッカも、屋敷が昨日とは違って見えた。
　都会では、アベルの仕事は何もなく、自動車が走っているので危険なので、カトリは、アベルをトゥルクへ連れて行くことに心配だった。ペッカが、アベルを預かるというので、カトリはアベルをペッカに預けることにした。カトリがクウセラ屋敷を去る日、カトリとペッカを乗せた馬車を、アベルが追いかけて来た。仕方なく、カトリはアベルを綱で縛った。アベルがいつまでも吠え続けるので、アリーナはアベルの綱をほどいてやった。アベルは、カトリの乗った馬車を追って、クウセラ屋敷から出ていった。
　カトリは、途中、ライッコラ屋敷を訪れ、ウッラの赤ちゃんのエレナを見せてもらった。カトリが、ウッラに、トゥルクの学校に行けるかもしれない、と言うと、ウッラは、やっぱり、お屋敷の奥さんになったほうがいい、その方が幸せになれる、と言った。
　１年ぶりで、カトリはユリスの家に帰った。ユリスもイルダも元気だった。一方、アベルはカトリを探して歩き回っていた。

第３８話「それぞれの道」

あらすじ

　ユリスとイルダは、カトリがトゥルクに行くと聞いて、反対した。しかし、カトリを学校に行かせてくれることを知って、許してくれた。カトリは、ペッカと一緒にマルティを訪ねてハルマ屋敷に行った。そこでペイネから、ユリスが最近も発作で２回ほど倒れたと聞いて、不安になった。
　
　カトリ、ペッカ、マルティは、湖へいった。カトリは「女の医者に会ったわ、女でも医者になれるのよ。」と言った。マルティは、「夢は持っていた方がいいよ、夢は絶対に叶えられる。」と言った。マルティは、勉強して飛行機や自動車について知っていた。マルティがわずか１年間の間に大きく成長していた。マルティは、カトリが算数の勉強していることに驚いた。マルティもペッカもカトリならどんな夢でもかなうと思った。
　アベルは、ライッコラ屋敷に立ち寄った。ウッラは、２、３日のうちにアベルをカトリに届けようと思ったが、カトリがいないと知ってアベルが逃げないように綱で繋ごうとしたら、アベルはウッラを振り切って逃げ出した。
　ペッカは、一生懸命働いて、クウセラ屋敷を必ずビリヤミのものしようと思った。そして、マルティがこの１年間で成長したことを認めた。
　夜、カトリはユリスとイルダに、クウセラ屋敷の１年の間に起った事を聞かせてあげた。クウセラ屋敷では辛い事はほとんどなかったので、二人は安心した。
　翌朝、ペッカが帰る時、朝靄の中からアベルが現れ、カトリの方へ駆けて来た。

第３９話「ハルマ屋敷のパーティ」

あらすじ

　ペッカは、カトリに別れを告げ、クウセラ屋敷に帰って行った。カトリにとってつらい別れだった。帰り道、ペッカは、涙が出て仕方なかった。
　カトリは、トゥルクでの生活に不安だった。しかし、カトリは、アベルがカトリのもとに戻ってきたので、近いうちに母に会える気がしていた。ロシアでは、革命が起こり、戦争をやめる声が上がっていた。
　マルティは、トゥルクの中学校に行くことにした。カトリは心強くなった。マルティは、ハルマ屋敷で行われるペイネの誕生日のパーティにカトリを招待した。ユリスは、よそ行きの服を持っていないカトリがパーティに行くことに反対したが、ロッタにもらったピンクのワンピース姿を見て、ユリスとイルダは、どこかのお嬢様のように見えた。
　ハルマ屋敷に着いたカトリは、子供たちのいる部屋に案内されたが、そこには、ヘレナがいた。ヘレナは、家畜番としてカトリを紹介するが、ほかの子供たちはヘレナの話が信じられない。いらだったヘレナは、カトリが着ている服も盗んできたものだと言って、持っていたビールをカトリの服にかけた。ヘレナは、カトリの服を拭こうとして、自分のハンカチを取り出し、刺繍のしてあるのを自慢した。しかし、それはただのレース編みで、それも機械で編んだ安物だった。カトリは、本当の刺繍の入ったハンカチを見せて、ヘレナのハンカチには１か所も刺繍をしていないことを示した。ヘレナは悔しくてハンカチを床に叩きつけて部屋を出ていった。カトリは、マルティに、「悪いけど私帰らせていただくわ。」と言って部屋を出た。
　カトリは、会場から出る途中、転んでしまった。警察署長の父と出席していた看護婦のエミリアが起こしてくれた。カトリは、次の日曜日にトゥルクに行くことにしていた。カトリは、エミリアと一緒にトゥルクへ行くに決めた。

名言（迷）集

カトリのワンピース姿に呆然とするマルティ
マルティ「とってもいい服だね。」
カトリ「いいかげんにしてくれない。さっきから服ばっかりほめてるじゃない。」
マルティ「だって、とってもいい服だから。」
カトリ「知らない！」
マルティ「どうして服をほめちゃいけないんだよ。」（女心が分からないマルティ）

ベイネにあいさつ
カトリ「末永くご健勝であられますように。」（とても１１歳とは思えないお言葉）

ハルマ屋敷でのカトリとヘレナの対決
ヘレナ「みなさん、こちらカトリさんよ。カトリはみなさんと違って学校でのんびり遊んでなんかいないのよ。家畜番をなさっているのよ。これが正真正銘の家畜番なの。この子がこんな服を持ってるはずないわ。この服はどこかから借りてきたか盗んできたんだわ。そうよ、間違いないわ、盗んだのよ。」
そう言うと、ヘレナは持っていたビールをカトリの服にかけた。
ヘレナ「ごめんなさい、はずみでしたことよ。今拭いてあげるわ。ねぇ、あなたこんなきれいな刺繍のしてあるハンカチ見たことある？　これで拭いてあげるわね。」
カトリ「結構よ、ヘレナさん。」
ヘレナ「あらそう？　こんな素晴らしい刺繍のハンカチは初めてでしょう。これであなたの服を拭くなんって確かにもったいないわね。」
カトリ「どこに刺繍がしてあるんですか。そのハンカチのどこに刺繍がしてあるんですか？」
ヘレナ「あなたには見えないの。ほら、よく見てごらんなさい。」
カトリ「刺繍なんかしてありません。」
ヘレナ「あんたの目は役にたたないのね。この刺繍が見えないの。」
カトリ「そのハンカチにはどこにも刺繍はしてありません。ただのレース編みです。それも機械で編んだ安物です。」
ヘレナ「何も知りもしないで口ばっかり達者なんだから。そんな嘘を並べても誰もあんたの言うことなど信用しないわ。」
カトリ「信用しなくてもいいわ。でも本当の刺繍というのはこういうのを言うのです。これがドローワーク。人の手を何日もかけなければできないものです。ヘレナさんのハンカチには１か所も刺繍をしてあるところはありません。」
ヘレナ「そんなばかな・・・」

第４０話「道づれ」

あらすじ

　カトリは、次の日曜日まで、できるだけユリスの畑仕事の手伝いをした。
　マルティは、アベルを汽車に乗せるためのかごとペイネからの贈り物のお金を持ってきた。ペイネは、中学に行かないと言っていたマルティが中学に行くと言い出したのはカトリのおかげだと、カトリに感謝していた。しかしカトリはお金の受け取りを断ったが、ユリスは、ありがたく受け取っておきなさいと言った。お金は１０ルーブルあった。それはカトリの１年分の給料に相当する金額だった。カトリは、自分がトゥルクで働くことをみんなが応援してくれるのはとても嬉かったが、不安でならなかった。
　日曜日、カトリは、マルティの馬車でサロの駅まで送ってもらい、トゥルクに旅立った。カトリは、馬車の上でマルティと夢を語った。カトリは、医者と看護婦の両方に興味があった。でも、学校にも行っていないような田舎の娘が医者になるのことは大変なことは分かっていたが、それでもカトリは夢を持ち続けようと思った。
　アベルは、貨物車両に乗せられることになった。そして、ぎりぎり汽車の時刻に間に合ったエミリアとトゥルクまでの汽車の旅が始まった。エミリアが力づけてくれたので、カトリはやっと不安が消え、心が落ち着いた。あと２時間もすれば、カトリのトゥルクでの新しい生活が始まる。

名言（迷）集

駅へ向かう途中、マルティが医者と看護婦のどちらになりたいか尋ねて、
カトリ「どうせ夢を見るなら欲張った方がいいわ。」
マルティ「夢を実現させろよ、カトリ。」
（中略）
カトリ「これからも私、夢を持ち続ける、ずっと持ち続ける。」
眠ったカトリに、
マルティ「夢は見続けろよな、カトリ。」、「素晴らしい夢を見ろ、カトリ。」

カトリ「トゥルクで働けるなんって夢にも考えなかったんです。あっちの農場、こっちの牧場とまわり歩いて一生を終わるんだと、ついこの間まで思っていたのです。」
エミリア「確か学校にも行かせてもらえると言ってたわね。運のいい子ねあなたは。だけどその幸運はあなた自身の努力でつかみ取ったようね。幸運はそう簡単に転がり込んで来ないものよ。これからも今まで以上に努力すればきっともっともっと素晴らしい運命が開けるわ。」

第３６話 「奥様の決意」

第３７話 「迷子のアベル」

第３８話 「それぞれの道」

第３９話 「ハルマ屋敷のパーティ」

第４０話 「道づれ」

第３６話「奥様の決意」

第３７話「迷子のアベル」

第３８話「それぞれの道」

第３９話「ハルマ屋敷のパーティ」

第４０話「道づれ」