牧場の少女カトリ各話紹介（４６

あらすじ

　カトリは、クラウスと自分の狭いベッドで一緒に寝ることにした。カトリは、午前５時過ぎに目覚めると、イーネスに命じられていた階段と２階の掃除をした。
　カトリは、居間に置いてあるオランダ製の高級な花瓶に花を生けようと思った。その花瓶は、エリアスが大事にしているものだった。台所で花瓶に水を入れていると、ノーラは、花を生けると花瓶の美しさが消えてしまうのでイーネスが反対する、と言うが、カトリは、花瓶は花を生けるものだと思って、サロモンが栽培している花をもらって生けた。カトリは、それを美しいと思った。
　朝食のとき、イーネスは、カトリが朝早くから掃除をしたことを疑った。セルマは、カトリは朝早くから掃除をしていたことをイーネスに話してくれた。カトリは、クラウスと公園に遊びに行こうとするが、花瓶に花を生けてあるのを見たイーネスは、カトリを呼び戻し、花を捨てるように命じた。カトリは、花瓶から花を抜こうとするが、早く遊びに行きたいクラウスがカトリの服を引っ張ったため、花瓶は床に落ちて割れてしまった。イーネスは、カトリに、「こんな高価なものを壊すなんってお前もよくよく運の悪い子ね。きっと一生この家で働いても償い切れませんよ、私が許しても兄のエリアスが許さないでしょうね。」と言った。クラウスは、悪いにはぼくだ、と泣き出して、カトリがなだめた。カトリの打ちひしがれた様子を見て満足したのか、イーネスはそれからあまり意地悪をしなった。
　カトリは、クラウスの世話を一生懸命やった。しかし、小さなクラウスは母親のことを思い出して泣いた。夜は、相変わらずクラウスの寝相の悪さに悩まされた。
　エリアスが、ロッタより一足早く帰って来た。イーネスは、カトリに、「花瓶のないことにすぐ気がつくわ。」と言った。カトリは、エリアスを出迎えに行けず、自分の部屋に戻って神様に祈った。しばらくすると、エリアスがカトリの部屋にやって来た。カトリは、震えながら、花瓶を割ったことをエリアスに詫びた。セルマから事情を聞いていたエリアスは、カトリに、イーネスが辛くあたったことを侘び、クラウスの面倒をみてくれたお礼を言った。カトリは、神様に心からお礼を言った。

第４７話　「お土産のランドセル」

あらすじ

　イーネスは、朝から体調が悪かった。屋敷にロッタから手紙が届いた。ロッタがカトリに宛てた手紙もあった。イーネスは、その手紙の封を開け中身を確認しようとしたが、セルマは、イーネスをとがめ、カトリの真面目な仕事ぶりを誉めたので、イーネスは封を開けるのをやめた。セルマはもうカトリのことは悪く思っていなかった。
　午後、カトリはクラウスと公園に行った。クラウスが、公園にいた同じ年頃の男のこと喧嘩した。それを収めた後、ベンチでロッタからの手紙を読んでいると、先日、公園で出会った男の子たちがその手紙を取り上げて意地悪をした。手紙を読んだ男の子は、出稼ぎに行って行方不明のカトリのおかあさんを気遣う内容だったので、カトリに手紙を返した。そこへレオがやってきた。男の子達が行ってから、レオはカトリと話をした。カトリから、９月から学校に行くと聞いたレオは、カトリに、自分の通う自由学院をすすめた。カトリもよさそうな学校だと思った。
　屋敷に帰って、イーネスは、クラウスの喧嘩のことでカトリに小言を言っていたとき、突然胸が苦しくなって倒れた。カトリは、医者を呼びに行こうとするが、医者嫌いのイーネスは、医者に見てもらおうとはしなかった。帰ってきたエリアスは、イーネスを説得して、イーネスは医者に見てもらうことになったが、近所の医者は、旅行に出て不在だった。カトリは、聖パウロ病院へソフィア先生を呼びに行った。ソフィアは、イーネスを入院させることにした。
　スウェーデンからロッタが帰って来た。カトリへのお土産はランドセル。カトリはランドセルを抱きしめた。「９月まであと２か月。」いよいよ学校へ行ける実感が涌いてきた。

第４８話　「ああ入学」

あらすじ

　夏がやって来た。相変わらずカトリはロッタの刺繍の手伝いで忙しかった。ある日、ロッタは、明日、カトリの入学の手続きに行くと言った。その学校はレオが通う自由学院だった。カトリは、公園で会ったレオに教えると、レオは大喜びで公園を走りまわった。
　ロッタは、カトリに入学試験があると言った。ロッタやエリアスは、大丈夫だと励ましが、カトリは不安で、ほとんど眠ることができなかった。
　試験の前日、カトリはアッキ、エミリアに食事に招待された。アッキとエミリアは婚約していた。二人は、カトリを励ましてくれた。レストランで食事を注文しようとすると、アッキは、店を出ようとするある男をあわてて追いかけて店を出て行った。その男は、ロシア人のレーニンだった。アッキは、レーニンとは会えずに戻ってきた。それから半年後、ロシアでレーニンを指導者とする革命が起り、革命政府はフィンランドの独立を認め、さらに翌年３月にはドイツとの戦争をやめことになる。
　カトリが屋敷に帰ると、マルティが待っていた。マルティは、中学の入学手続きのためにベイネと来ていた。
　入学試験の日、学校の先生たちは、カトリの身の上を聞いてとても良い印象を受けた。国語と算数の試験があった（国語の試験は、「トムソーヤーの冒険」）。カトリは、見事に試験に合格し、しかも特待生なった。カトリは、マルティに知らせ、おじいさんに知らせるため手紙を書いた。夢のようだったので、髪の毛を引っ張ったが夢ではなかった。

名（迷）言集

入学試験が終わって、
カトリ「だめだったの。試験に落ちたのよ。」
マルティ「そんなばかな。カトリを落とすなんて。ひどいや、なんて学校だ。それじゃあ、まるっきりカトリっていう人間がわかってないよ。そんなの先生になる資格なんがさいさ。絶対に抗議すべきさ。そうだ、やるべきだよ。僕を入学させて、カトリを落とす、第一これがおかしいじゃないか。ようし、お父さんに言ってやる。そして学校に・・・。」
カトリ「うふふふ、受かったわ。私。」
マルティ「ひどいや。うそつくなんて。」
カトリが嘘をつくなんて、意外でした。相変わらず、すぐ熱くなるマルティ。

第４９話（最終回）　「おかあさんの帰国」

あらすじ

　秋、カトリは新学期から自由学院に通い始めた。田舎で家畜番をしていた貧しい少女は、今では自由学院初等部の６年生。レオは、カトリが簡単に算数の問題を解いてしまうので、不思議だった。学校では、カトリのことを、ドイツに占領されてフィンランドに逃げて来たどこかの国の王女様だと噂されていた。
　イーネスが退院して、屋敷に帰って来た。イーネスは、カトリに、健康になったお礼を言った。そして、カトリは根性があると誉めてくれた。
　レオは、しきりとカトリの秘密を聞こうとするが、カトリが雇われて学校に学校に通わせてもらっていることを信じない。登校の途中、通りかかったソフィア先生の車に乗せてもたったとき、ソフィアは、レオに「カトリは星の国の王女様だと教えた。
　カトリが入学してから３か月があっという間に過ぎた。この冬は、独立したばかりのフィンランドにとっても厳しい冬で、内戦が起こり、この混乱は春になってようやくおさまった。ロシアとドイツとの戦いも終わり、カトリはお母さんが帰って来る日を待ち続けた。
　ある日、カトリにユリスから手紙が届いた。その手紙には、サラからの手紙も入っていた。サラの手紙によれば、サラは、フィンランドに帰る前、チフスにかかり、完全に回復しきらない体で出発し、トゥルク行きの船の中で高い熱を出し、半月前から、トゥルクの聖パウロ病院に入院していた。
　さっそくカトリは、ロッタと一緒に聖パウロ病院を訪れた。そして、カトリは、ベッドに寝ていたサラに飛びついた。６年間待ち望んだ母との再会が実現した。
　７月、元気になったサラとカトリは、おじいさんの家に向かった。汽車の中で、サラは、カトリに、自分が想像したよりずっと素晴らしい娘に成長していたと言ってくれた。
　カトリは、ロッタの屋敷で働きながら中学に行くことにした。馬車でサロの駅に迎えにきていたペッカは、カトリは田舎には帰ってこないきがしていた。カトリは、田舎に帰ってくるつもりだった。
　カトリ・ウコンネミは、その後、作家になった。彼女は、フィンランドの農村の人達の暮しを実に鮮やかに、そして暖かく描き出した。

名（迷）言集

レオと通学の途中、ソフィアの自動車に乗せてもらって、
レオ「ひとつだけ聞かせてください。カトリはいったいどこの国の王女様？」
ソフィア「あんた、友達のくせして知らなかったの？　カトリはねえ、星の国の王女様なのよ。」

里帰りの汽車の中で、
カトリ「お母さん、正直に言ってほしいんだけど、私、お母さんが考えていたような娘になっていた？」
サラ「いいえ。」
カトリ「じゃあ失望したのね。」
サラ「その反対よ、あなたはお母さんが考えていたよりずっとずっと素晴らしい娘になっていたわ。」

サロの駅からペッカの馬車に乗っているとき、
ペッカ「カトリは結局、都会の人になってしまうんだなぁ。」
カトリ「そんなことないわ、私はきっと学校を卒業したらこっちへ戻って来るわ、そんな気がする。」
ペッカ「いや、カトリは戻らないと思う。」

第４６話 「美しいもの」

第４７話 「お土産のランドセル」

第４８話 「ああ入学」

第４９話（最終回） 「おかあさんの帰国」

第４６話　「美しいもの」

第４７話　「お土産のランドセル」

第４８話　「ああ入学」

第４９話（最終回）　「おかあさんの帰国」