牧場の少女カトリ各話紹介（２６

あらすじ

　カトリが出発する日の朝、マリは、カトリに渡してもらうため、本を７冊マルテイに渡した。
　カトリは、５日でユルスやイルダと別れ、また働きに出ることにした。クウセラ屋敷までマルティに馬車で送ってもらうことになった。カトリは、本当はおじいさんやおばあさんといっしょに暮したかった。しかし、おじいさんの体を心配したカトリは、どうしてもクウセラ屋敷に雇ってもらうつもりだった。
　マルティは、マリからプレゼントされた本をカトリに渡した。カトリは大喜びでした。その中には、ユーゴーの「クルヤット（レ・ミゼラブル）」もあった。マリは、決して意地悪な人だではないことがカトリには分かった。
　カトリはマルティに、看護婦になりたい、同じ働くならみんなに一番喜ばれるような仕事をしたい、と言った。マルティは、カトリの夢を聞いて励ましてくれた。
　クウセラ屋敷に向かうのに近道を選んだマルティだったが、道が悪くて馬車の車輪がはずれてしまった。２人が困っていると、向かいから馬車が近づいて来た。二人は、その馬車に助けを求めると、その馬車には、あのハンナ一味が乗っていた。ハンナは、カトリをジプシーに売ってしまうと言った。カトリたちは、激しく抵抗したが、ハンナたちに捕まってしまった。そこへ林の中からアッキが現れて、「ロシアから逃げてきた。」と言って、拳銃でハンナたちを脅して助けてくれた（ＢＧＭ・フィンランデイア）。カトリもマルティも、思わず泣きながらアッキに抱きついた。カトリとマルティは、この近くのアッキの別荘で昼食を食べた。カトリは、１０ヶ月ぶりでアッキに会った。カトリは、この別荘での昼食を一生忘れられないだろうと思った。

名（迷）言集

馬車の中で、カトリは涙を浮かべながら、「私もおじいさんやおばあさんのそばにいたかった、ずっといたかった。あと１０日もいたらきっと働きに出るのが嫌になってしまうわ。おじいさんは力のいる仕事はできないわ。心臓が悪いのよ。このあいだ畑で倒れたわ。おじいさんが働けなくなったらとっても困るわ。私クウセラ屋敷にはどうしても雇ってもらうつもり。」

本をもらったカトリ「早く読みたいわ、読みたい、読みたい、読みたい、読みたい！」

カトリと将来のことを話ながら、マルティ「本気なんだなカトリは。キラキラしてる、君の目さ。カトリだったらきっとなれる、看護婦でも他のものでもなりたいものならなんでもなれる。」

第２７話「都会育ち」

あらすじ

　国道でマルティと別れて、その先は、トゥルクへ戻るアッキがカトリをクオレリシ村のクウセラ屋敷まで送ってくれた。アッキはもう逮捕される心配はなかった。
　夕方、クウセラ屋敷に着いたカトリとアッキは、まずペッカに会おうとして、雇い人のヘンリッカに尋ねると、ペッカはビリヤミといっしょにパタコスキの町に行っていて、明日にならないと帰って来ないということだった。そのとき、屋敷の前で軍人が再び戦地へ旅立つため夫人や子供と別れる様子を見た。彼は、ドイツの戦地から休暇で帰ってきていたクウセラ屋敷の主人カルロだった。夫人のロッタは、アッキとカトリに気づいた。アッキは、ロッタに、カトリを紹介して、この屋敷で働かせてもらえるようお願いした。ロッタは、カトリを、自分とクラウスの身の回りの世話をしてもらうため雇うことにした。アッキはカトリと別れて、夜のうちに出かけた。カトリは、その時アッキとはもう２度と会うことはないと思った。
　クウセラ屋敷には、ビリヤミの婚約者アリーナも働いていた。二人は、秋に結婚する予定だった。ロッタは、都会トゥルクの育ちだったので、農場のことは分からず、ビリヤミに任せていた。もともと趣味として刺繍をしていたが、夫が戦争でドイツに行ってからは寂しさをまぎらわせるために夢中で刺繍をし、貿易の仕事をしている実家に頼んでその刺繍をスウェーデンで高く売ってもらっていた。ロッタは、６年前、カルロの両親が相次いで亡くなったのでこの屋敷に来たのだった。夕食後、カトリは、ロッタから刺繍を教えてもらった。
　翌日、パタコスキの町からの帰ち道、ペッカはビリヤミにカトリを雇ってくれるようにお願いするが、ビリヤミは、わずか１０歳の女の子では役に立たない、と相手にしてくれなかった。クウセラ屋敷に帰り着いたビリヤミは、ロッタからカトリを雇うことを聞かされ、カトリは、再びペッカと一緒に働くことになった。それにクウセラ屋敷はカトリにとって素晴らしい働き場所だった。

第２８話「新しい生活」

あらすじ

　クウセラ屋敷で、カトリは自分の個室をもらえた。ここなら遅くまで本を読むことができた。ロッタはカトリが学校に行ったことがないカトリに字を教えてあげようと考えていたが、カトリは字が読めると聞いて、少々がっかりするが、カトリは、勉強をみてもらうことをお願いした。
　ペッカがアベルの犬小屋を作ってくれた（ただし、小屋の中で釘が２本も出ていた。）。
　クウセラ屋敷でのカトリの仕事は、ロッタの食事の世話とクラウスの遊び相手だけで、カトリには、仕事が楽すぎた。カトリは、ペッカの代わりに牛を連れて帰ることにした。
　真夜中過ぎ、カトリはロッタに起こされた。クラウスが病気でひどい熱を出していた。カトリはペッカを起こし、７キロ離れたパタコスキまで、医者のニーラネン先生を呼びに行った。ところがニーラネン先生は３日前に亡くなっっていた。ニーラネン先生の代わりに娘のソフィアが往診に来てくれることになった。ソフィアは医者の卵のインターンで、あと３ヶ月で医者になる予定だった。

第２９話「夢を見ていた」

あらすじ

　クウセラ屋敷の人々はソフィアが医者であることが信じられなかった。クラウスは肺炎を起こしかけていた。しかし、トゥルクの病院で何人も子供を診察しているソフィアは、診察に自信があり、注射を使って治療した。ソフィアは、帰りの馬車でペッカにカトリのことについて質問し、カトリが気に入った。そして、アンデルセンの童話と子猫のミッキをプレゼントしてくれた。カトリは、ミッキとアベルを仲良くさせようとしたが、アベルにはその気がなさそうだった。
　３日後に再びソフィア先生がやって来た。ソフィアは、トゥルクの聖パウロ病院に戻る途中だった。カトリは、思いきってソフィア先生にどうやったら医者になれるのか尋ねた。しかし、ソフィアは大学に行かないと無理だと言った。一生懸命努力すればお医者さんになれるかもしれないと考えていたカトリだったが、それが今、決して実現する事のない夢だということがはっきり分かった。

名（迷）言集

犬小屋でぐうたらしているアベルに、カトリ「お前も少し働いた方がいいんじゃないの。怠けもん。」

どうしたら医者になれるか尋ねたカトリに、ソフィア「ここにいては絶対になれないわ。私はスウェーデンの大学で学んだのよ。これからはフィンランドでも勉強できるわ。それでもヘルシンキかトゥルクの大学でなくてはダメでしょうね。あなたには無理よね、そんなこと言っても。でもね、希望は持ち続けなさい。そうすればひょっとしたら道が開けるかもしれないわ。」（カトリには、ショックな言葉だった。）

第３０話「美しい白鳥のように」

あらすじ

　クラウスの病気はすっかりよくなった。カトリはロッタから刺繍を習った。カトリの上達は早かった。クウセラ屋敷でのカトリはとても恵まれた状態におかれていた。あまりにも楽なのでカトリはこれでいいのかと不安になるくらいだった。カトリは夜になるとむさぼるように本を読んだ。
　カトリは、ペッカと一緒に馬車で、ライッコラ屋敷に置いたままにしてある荷物を取りに行った。ライッコラ屋敷では、ウッラのお腹の中に赤ちゃんができていた。ウッラは、女の子が生まれたらカトリのように育てたいと言った。ウッラは、カトリに大きくなったらどんな大人になるかを聞いた。ウッラは、大きなお屋敷の奥さんになるだろうと言った。カトリは、お屋敷の奥様ではなく人のために役に立つ仕事、例えば看護婦や学校の先生になりたいと答えた。ウッラは、こんな田舎で学校にも行っていないカトリにはとても無理だと言う。しかし、アンネリは、努力すればなれるとカトリを励ましてくれた。
　ライッコラ屋敷からの帰りに、カトリはグニンラおばあさんに会いたいと思い、チューリンの村を通って帰ることにした。カトリは、馬車の上で、考え事をして、ペッカとの会話にも集中できなかった。村に着くと、グニンラおばあさんは亡くなっていた。カトリは呆然とした。
　その夜、カトリはクラウスにアンデルセン童話「みにくいアヒルの子」を読んであげていた。カトリは、読み終わると思わず泣き出した。カトリも白鳥になりたかった（生まれた境遇によって人生が決まってしまう現実がカトリの前に立ちはだかっていた。）。

第２６話 「助けてくれた人」

第２７話 「都会育ち」

第２８話 「新しい生活」

第２９話 「夢を見ていた」

第３０話 「美しい白鳥のように」

第２６話「助けてくれた人」

第２７話「都会育ち」

第２８話「新しい生活」

第２９話「夢を見ていた」

第３０話「美しい白鳥のように」