牧場の少女カトリ各話紹介（２１

あらすじ

ペッカは、４日間ライッコラ屋敷で働くことになった。羊の毛の刈り取りが終わって、ペッカは、ビヒトリに羊の毛を保管する小屋に鍵をかけることをすすめた。
ペッカはずっとライッコラ屋敷で働きたかった。そのために、ペッカは一生懸命働いた。カトリは、テームに、ペッカを働かせてくれるようにお願いしたが、ライッコラ屋敷は、冬は仕事がなくなるし、ペッカを雇う余裕はなかった。
ペッカはすっかり落胆した。
ハンナの泥棒仲間が計画を実行する日がやってきた。ハンナは、こっそり小屋の鍵をあけた。ハンナは、アベルを始末しようと、毒を盛った肉をアベルに食べさせようとするが、アベルは食べようとはしない。ハンナが無理矢理食べさせようとすると、アベルはハンナの手に噛みついた。アベルは、とうとう綱で繋がれた。しかし、グニンラは、自分が責任を取るからアベルの綱を外してから寝るようにと、カトリにこっそりと告げた。
夜中、泥棒たちがライッコラ屋敷の小屋に忍び込んた。それに気づいたアベルが、泥棒に噛みついた。アベルが吠えるのに泥棒たちは何も盗れずに逃げ出した。その晩からハンナの姿は見えなった。

第２２話「春をまちながら」

あらすじ

ペッカがライッコラ屋敷を出て行く日が来た。兄の勤めるクオレリシ村のクウセラ屋敷で働くことにしペッカは、放牧場までカトリと一緒に行き、カトリに別れを告げ旅立った。カトリは、二度とペッカに会うことはないように思えて、とても悲しかった。そして、お母さんと別れた日のことを想い出して、気の強いカトリもとうとう泣いてしまった。
冷たい雨の日が続き、長い冬が訪れた。この頃になると人も家畜も外に出なくなる。昼は急速に短くなり、雪が降る頃には明るい時間というのは僅か３時間ほどになってしまう。カトリは、グニンラおばあさんに糸の紡ぎ方を教えてもらった。グニンラは、カトリの熱心な態度に感心した。
フィンランドの長い退屈な冬を少しでも楽しく過ごすには、グニンラおばあさんのような、いろんな話を知っている人が必要だった。森の獣たちや渡り鳥の話、妖精たちの話、王子様やお姫様の話、魔法使いの話をとても上手聞かせてくれる。それは長い間家の中で過ごさなくてはならない人達が産み出した物語で、北国の長い長い冬を人々はこうして過ごしていた。必ずやってくる春を待ちながら…。
この日、グニンラは、家畜番の娘の話をした。

家畜番と鶴の話

フィンランドに古くから伝わる昔話で、アンニ・スワンが「鶴と少女」という題をつけて紹介した。

ある家畜番の娘は、主人からろくに食べ物を与えられず、服装も粗末だった。ある日、誰かに撃たれて怪我をした鶴が降りてきた。娘は、鶴を優しく看病した結果、鶴は元気になった。秋になり、鶴が南へ旅立つとき、春に再開できるよう、娘は鶴の足に赤いリボンを結んだ。
春になって、鶴が戻ってきたとき、鶴は、お礼に、食べたいものがなんでも出せるスプーンをプレゼントした。娘は、おなかをすかすことがなくなり、見違えるよう美しくなった。秋が近づいたある日、おなかをすかせた老婆が現れ、娘は魔法のスプーンを老婆にあげた。
秋、再び南へ旅立つ鶴は、暖かい服が織れる魔法の糸巻きを娘にプレゼントした。しかし、再び老婆が現れ、娘は老婆に糸巻きをあげた。
再び春になって戻ってきた鶴は、娘に指輪をあげた。そのとき、鶴は、「これは誰にも渡してはいけない。」と言った。娘がその指輪をつけるととても幸せな気持ちになった。
娘の前に老婆が現れ、たくさんの装飾品と指輪を交換するように娘を誘惑した。しかし、娘は、断固として断った。すると、老婆は、叫び声を上げ、魔法使いの姿になって消えてしまった。気を失った娘が目を覚ますと、赤いリボンを足につけた王子が立っていた。それは、魔法使いにより鶴の姿に変えられていた王子だった。娘の誠実さによって魔法が解けたのだった。
その後、２人は、王子の城で幸せに暮した。

第２３話「牛と熊はどちらが強いか」

あらすじ

染物屋から羊の毛が染め上がってきた。カトリは、グニンラおばあさんに教わり、シロから取れた糸でセーターを編んだ。
ある日の夜、まだ冬だというのにライッコラ屋敷に熊が現れた。みんな不吉なものを感じた。
長い冬もやっと終わり、グニンラおばあさんはチューリン村に帰って行った。カトリはグニンラと別れるのが辛かった。グニンラもカトリに会えたことを喜んだ。
今年は熊の出没が多く、ビルッキ屋敷で牛が熊に襲われた。ライッコラ屋敷でも、心配で牛を牧場に連れて行くことができなかった。しかし、１週間もすると熊の姿が見えなくなり、ライッコラ屋敷でも、牛たちを牧場に出すことにした。テームは危ない時は吹くようにと、カトリに角笛を渡しました。
その日、牧場では熊が出て、他の屋敷の家畜番が牛を慌てて連れ戻そうとしていた。カトリも大急ぎで屋敷に戻り始めた。しかし、途中で熊が行く手を阻んだ。カトリは震えて角笛を吹くことができなかった。カトリは森の中へ逃げ込んだが、熊がカトリを追いかけてきた。熊に追いつめられ、カトリは恐怖で気絶してしまった。その時、牛のクロが、猛然と熊に体当たりした。さらに角を熊に突き刺して熊と闘った、熊もクロの肩を爪で引っかき反撃した。牛と熊の死闘が始まった。意識が戻ったカトリはクロに声援を送った（ＢＧＭ・フィンランディア）。

第２４話「出会いと別れ」

あらすじ

クロは、死闘の末、熊を倒した。しかし、熊が死んだことに気づかず、熊に角を突き刺したまま熊を押しつづけていた。駆けつけたテームら村の男たちが熊からクロを引き離そうとしたが、クロを動かすことが出来ない。そこで、カトリがクロに優しくねぎらいの声をかけると、クロはようやく熊から離れた。
テームは、また熊が出るおそれがあるので、翌日からカトリを牧場に行かせなかった。ちょうど、カトリがライッコラ屋敷で働き始めてから１年が経過し、契約更新の時期を迎えていた。カトリは、更新をあきらめて、おじいさんの家に帰ることにしました。ウッラは、カトリを抱きしめて、「本当はあなたにいつまでもここにいてほしいの。家畜番としてではなくて私の娘としてね」と言った。
カトリは、初めてペッカと会ったときのことを思い出しながら、パルキ村に向かった。歩いていると、たまたまこの近くまで来ていたペッカが、カトリがライッコラ屋敷をやめたことを聞いて、馬車で追いかけて来た。ペッカは、カトリに自分と同じクウセラ屋敷で働かないかと誘った。カトリは、おじいさんと相談してから決めると言ってペッカと別れた。
いじめっ子に遭わないように、途中の村を走り抜けようとしたカトリは、途中で転んで、ひざを擦りむいてしまった。そこに、看護婦のエミリアという女性が通りかかり、カトリを起こしてくれた。クオレリシ村へ向かうエミリアとカトリは途中まで一緒に歩いて、エミリアの仕事について話をした。カトリは、とても興味を持ち、素晴らしい仕事だと思った。エミリアは、カトリがいままでに出会ったどの女性とも違っていた。カトリは、自分も看護婦になれるかをエミリアに聞いてみると、エミリアは、看護婦だって医者だって何にでもなれると言った。カトリは、エミリアのように、まっすぐ前を見て歩きたい、と思った。
夕方、カトリはおじいさんの家に帰りついた。イルダは、カトリの目の輝きを見て、カトリの成長が分かった。ユリスは、具合が悪く寝ていたが、カトリを見ると、飛び起きて喜んた。

第２５話「島での出来事」

あらすじ

カトリが働きに行っていたこの１年間、サラからの手紙は途絶えたままであった。カトリは、５年前、サラと別れた日のことを思い出していた。カトリは、お母さんに逢いたい、心からそう思い、その夜、何度もお母さんの夢を見た。翌日、ユーラを牧草地に連れて行くと、カトリは、空にサラを思い描いて、また働きに行くつもりだと話しかけた。
カトリがユリスを呼びに畑へ行くと、ユリスは胸が苦しくなり座り込んでいた。カトリは心配だった。そして、ペッカのいるクーセラ屋敷に働きに行こうと決心した。
午後、カトリは、マルティと、湖に魚釣りに出かけた。ボートの上で、マルティは、父に、カトリは親戚だから学校に行けるよう、カトリの生活費を出してもらうように頼んでみると言った。しかし、カトリは、マルティの気持ちに感謝しながらも、人に面倒見てもらわなくてもやっていける、学校に行かなくても学ぶことはできると、その話を断った。マルティは、カトリが１年間働いてすっかり自信がついたみたいに感じた。
カトリとマルティは湖の中の島に向った。そこの洞窟には、ハンナと２人の男がいた。３人は、今夜、ハルマ屋敷に羊の毛を盗みに行く相談をしていた。それを目撃したカトリとマルティは急いで、ハルマ屋敷に知らせに戻った。村人たちが島に向かったが、すでにハンナたちは逃げた後だった。カトリの家には、ハルマ屋敷からのお礼として牛肉が届けらた。しかしカトリは心の中にかすかな不安を感じていた。

名（迷）言集

カトリ「お母さん、ライッコラ屋敷での１年間で、私はいろいろなことを学びました。お母さんもびっくりするくらい、いろいろなことをね。でも私はもっともっと知りたい、だからまた働きに行くつもりです。その方がおじいさんを助けることにもなるし。」

湖のボートの上で、カトリ「あああ、マルテイ、早く早く！　私じゃぜんぜんだめ、なにぼんやりしてるの。いじわるね。」（珍しく慌てふためくカトリ）
マルティ「ほく、カトリにはなにをやってもかなわないと思っていたのに、釣りだけはぼくのほうがうまそうだ、よかった。」

第２１話 「アベルが狙われた」

第２２話 「春をまちながら」

第２３話「牛と熊はどちらが強いか」

第２４話 「出会いと別れ」

第２５話 「島での出来事」

第２１話「アベルが狙われた」

第２２話「春をまちながら」

第２４話「出会いと別れ」

第２５話「島での出来事」