牧場の少女カトリ各話紹介（６

あらすじ

　カトリはライッコラ屋敷に着いたが、屋敷からは誰も出てこない。しばらくして、雇い人のアンネリが帰って来た。アンネリは、奥様のウッラはサウナ小屋にいると言った。カトリがサウナ小屋に行ってみると、ウッラが楽しそうにクレープを焼いていた。カトリを見ても関心がなく、カトリは、変に思った。アンネリの話によれば、ウッラは２年前レイナという娘を亡くして以来、心がおかしくなったということだった。カトリは、ウッラを気の毒に思った。
　夕方、主人のテームが帰って来た。機嫌が悪く、アベルの姿を見て、こんな犬が家畜番ができるはずがないと言って怒った。カトリは、アベルはちゃんと仕事ができると泣いて訴えた。テームの叔父エスコは、明日アベルが家畜番として役に立つかどうかを見れば分かる、と言って、カトリの味方になってくれた。
　次の日、アベルは、立派にカトリを助けて３０頭の牛を牧場まで連れて行った。テームはカトリに謝った。「お前のアベルはすごい犬だ。」と。

名（迷）言集

「アベル、私たち明日から家畜の世話をしたり見張りをしたりするのよ。いいアベル、私を助けてね。牛の数も多いし私一人ではとても無理だと思うの。頼むわねアベル」
その夜ベッドに入ったカトリは「どうか神様、私とアベルの働きがここのご主人に認められますように」
すっかりアベルを頼るカトリでした。

第７話「奥様」

あらすじ

　ライッコラ屋敷に来て１０日経ったカトリは、家畜番の仕事にも慣れてきた。隣の牧場からペッカがやって来た。カトリはまだペッカをよく思っていなかった。そこへアベルが野ウサギを捕まえて来た。カトリは、アベルが勝手に持ち場を離れ、罪もないウサギを殺したことを叱って、昼ご飯抜きの罰にした。ペッカはアベルを誉めて、ウサギをもらった。
　カトリは、名前を忘れないように牛たちに声をかけた。そこへテームがやって来た。テームは、カトリに、妻のことをどう思うかを尋ねた。カトリは、「奥様は病気だと思います。」と答えた。テームは「大きな悲しみが妻をあんな風にしてしまった。あれは不幸な女なんだ。」と言った。
　夕方、カトリは、明日から、北の牧場に牛を連れ行くように命じられた。テームは、カトリを北の牧場に連れて行った。テームは、北の牧場は下のサロ湖まで急な崖になっているので、牛たちを崖に絶対に近づけてはならないと注意した。夕食のとき、ウッラは、カトリに、アベルを譲ってくれと言った。しかし、カトリは、母にもらった大事な犬なので断った。テームに、母のことを聞かれたカトリは、３年前に別れたまま一度も逢っていないと言った。それを聞いていたウッラは、亡くなった娘が忘れられず、突然泣き出した。
　次の日、カトリは北の牧場に牛たちを連れて行った。その日は何事もなかったが、その日の夜、ウッラからある用事を頼まれた。翌日、カトリは、悩みを抱えたまま、北の牧場へ向った。

名（迷）言集

テームから、牛を５キロ歩かせてくれ、と言われて、
カトリは、「ここから南の牧場までだいだい１キロですから往復で２キロ歩いたことになります。そして、あの牧場の長い方は約５００メートルありますから、牛たちを３回ほど往復させます。そうすれば５キロになります。」
早くも算数の才能発揮。

牛のクロに、カトリが「男らしくて、私、好きよ！」（うらやましい。）

第８話「災難」

あらすじ

　カトリは、昨日、ウッラから、北の牧場に着いた後、キヴィ屋敷に行ってフィンカブラの苗を取って来るようと頼まれていた。カトリは、北の牧場は牛から目が離せないのでいったんは断ったが、結局引き受けた。牛たちが草を食べ終えて横になったら、カトリはアベルを見張りを頼んで、村まで走った。ところが、目覚めた牛たちは、アベルの吠えるのを無視して、崖の方へ歩き出した。
　フィンカブラの苗を貰ったカトリは、北の牧場まで走った。カトリに気づいたペッカも一緒に走った。ペッカが、異常な騒ぎを聞きつけた。北の牧場では、牛たちが崖に向かって歩きだし重みで崖が崩れ、何頭かの牛は、崩れた崖を滑り落ちていた。カトリとペッカは、牛の名前を呼んで、必死に崖から牛たちを引き上げた。一番手を焼いたのが、この騒ぎの張本人のビークナだった。幸い牛たちには一頭も異常はなかった。
　屋敷に帰って、カトリは、テームから、持ち場を離れたことで鞭で叩かれ、倒れ込んだ。それを見ていたエスコはテームを止めた。エスコは、テームに、カトリはウッラに頼まれて村へお使いに行ったことを話した。エスコは偶然そのやりとりを聞いていた。カトリは、テームに、ウッラから、「旦那様には内緒にして、お祭りの日にフィンカブラのグラタンを出して旦那様を驚かせてやりたい。」と言われたことを話した。ウッラがうれしそうにフィンカブラの苗を受け取りにきた。エスコは、テームに、カトリに謝るよう言った。

次回予告コメント

あたし、風邪を引いてしまいました。そこへ、いとこの別荘へ遊びに来ていたマルティが、訪ねてきてくれたのです。そして、病気のあたしに代わって家畜番をやってくれるっていうの。そんな時、食欲のないあたしを見た奥様は、クレープを焼いてくれるのです。

第９話「愛情」

あらすじ

　その日、カトリは朝から頭が痛くて食欲がなかった。牧場で眠り込んだカトリは、アベルが魚になったり、牛が空を飛ぶ夢をみた。夢の中でサラが出てきて、「おかあさん」と声をかけたら目が覚めた。
マルティとマルティのいとこのヘレナが来た。マルティは夏休みで、この近くのヘレナの別荘に遊びに来ていた。マルティは、体調の悪いカトリに代わって牛たちの見張りをしてやった。ヘレナは、家畜番とは仲良くするのは気にくわず、さっさと帰った。
　夕方、ライッコラ屋敷までついて行ったマルティは、テームに、カトリは病気だから仕事を休ませてほしいと頼んだが、テームは、代わりがいないと言って承知しない。マルティはカトリの代わりに家畜番をすると言った。テームは、承知し、カトリに「お前はいい友達を持っているな。」と言う。
次の日、マルティは、家畜番の仕事をなんとかこなした。ペッカは、お金持ちのマルティが気に入らない。そこへヘレナがやって来て、マルティに、家畜番をやめるように言うが、マルティは断った。ヘレナは、ベイネに話すと言って帰った。
　屋敷で寝ているカトリを見て、ウッラは病気で寝ていたレイナを思い出した。お昼になってもカトリは何も食べたくなかった。ウッラは、「食べなきゃだめ。」と言って、カトリにクレープを焼いてあげた。カトリは、クレープを食べながら奥様の顔を見た。ウッラの顔は、母親のように愛情に溢れていた。その時、カトリは、自分の病気が治ればウッラの病気も治るように思えた。

第１０話「約束」

あらすじ

　夕方、一日中牛の見張り番を終えたマルティが、くたくたに疲れて、ライッコラ屋敷に戻って来た。マルティは、翌日も家畜番をすると約束した。ヘレナは、マルティがへとへとに疲れてまで、家畜番のために働くことに腹が立った。
　翌日、マルティは寝坊してしまった。カトリは、マルティが来ないので心配になった。カトリは起き上がろうとしたが、ウッラは止めた。代わりに、エスコが家畜番として働くことになった。ちょうどその時、マルティが息を切らしてやって来た。マルティは、遅れたことをカトリにわびた。
その日、カトリの熱は下がり、ウッラの心の病気もよくなった。

第６話 「主人」

第７話 「奥様」

第８話 「災難」

第９話 「愛情」

第１０話 「約束」

第６話「主人」

第７話「奥様」

第８話「災難」

第９話「愛情」

第１０話「約束」