牧場の少女カトリ各話紹介（１１

あらすじ

　カトリを看病することによって、ウッラの心の病気も治っていった。
　雨が降り出し、牧場では、マルティが雷に怯えて森の奥へ逃げ込んだ何頭かの牛を追いかけた。マルティがへとへとになって牛を連れて戻ってきたところ、様子を見に来たペッカがマルティに、「カトリは、なんでおまえなんかに牛の見張りを頼んだんだ。」と非難したので、２人は喧嘩を始めた。ところが喧嘩に怯えた牛たちが森の中に走り出したので、２人は喧嘩を中止し牛を追いかけた。カトリは、マルティが心配でならない。
　ヘレナの別荘にマルティの両親がやってきた。ペイネは、ヘレナから、マルティが家畜番をしていると聞いて驚いた。牧場にやって来たペイネは、マルティに、「ハルマ家の名前に泥を塗りおって。」と怒った。マルティは、ベイネに、カトリのためにどうしても家畜番をやりたいと主張した。そのやりとりを聞いたペッカは、ベイネに、マルティは根性があると誉めた。ペイネはマルティに家畜番をすることを認めて帰った。マルティはペッカに礼を言うと、ペッカは「嘘をついたわけじゃないさ。」と答えた。マルティの家畜番の仕事は２日間で終ったが、カトリから大変感謝された。

名（迷）文句

雨が降り出しても寝ているアベルに、マルティが、「こんな雨の中を寝てるなんて、おまえものんきなやつだな。」
（お互い様だと思う。）

マルティ「友達が困っていたから代わったのです。恥ずかしい事とは思っていません。」
マルティの男らしさが感じられました。
ペッカ「こいつなかなか見所ありますよ、牛の扱い方だってけっこう達者だし、それに根性もある。金持ちの坊ちゃんにしてはたいしたもんだ」
お互いを認め合った場面である。

第１２話「手紙」

あらすじ

　カトリはすっかり元気になり、夏小屋で１人で寝るようになった。朝、アベルは決まった時間に吠えてカトリを起こすようになった。
　カトリがかごを作っていると、牧場にヘレナがやってきた。しかし、まだマルティは来ていなかった。ヘレナは、マルティがカトリに会うのが気に入らなかった。それを聞いたペッカも、「俺の気持ちもあのお嬢さんと同じだなあ。」と言った。ペッカにからかわれてヘレナは帰っていった。
　マルティが魚を３匹釣って牧場にやってきた。マルティは、魚を焼き始めたが、ペッカに魚を食べさせないようとしないので、マルティとペッカはまた喧嘩を始めた。しかし、カトリが喧嘩したら口も聞きたくないと言うので、二人は仲直りすることにした。言い争っている間、魚は黒こげになってしまい、３匹ともアベルが食べた。ペッカが帰った後、マルティは、ペッカについて、「あいつはいいやつなんだなんだ。」と誉めた。
　カトリは、仕事のあいた時間に本を読もうと、マルティに本を貸して、とお願いした。カトリは聖書で勉強していたが、もっと勉強したかった。
　ウッラが、カトリ宛の手紙を持ってやって来た。手紙はユリスからで、サラからのカトリ宛の手紙も同封されていた。その手紙は１年前にフランクフルトから出されたが、戦争の混乱のため郵便局にまぎれ込んでいた。「ほんとは、おかあさん、明日にでもあなたに会いたい。」という文字を読んで、カトリは思わず泣いてしまった。

第１３話「素敵な贈り物」

あらすじ

　よい天気が続き、牛たちもおとなしいので、カトリは、仕事の合間にビヒタを作るための白樺の小枝を集めていた。そこへ、スケッチブックを持ったアッキという大学生がやった。アッキは、この近くの別荘で静養していた。ビヒタを持ったカトリを見て、アッキは、いきなり、「乙女よ余人のためではなく我がために珠の連なる首飾りを巻き十字架を胸にかけよ、乙女よ我がためにその美しき髪を編み柔らかき飾紐（りぼん）を結べ」と言った。それは、フィンランドの叙事詩カレヴァラの一節だった。アッキは、カトリをモデルに絵を描きながら、カレヴァラは昔のフィンランド人が作った偉大な叙事詩だと話した。カトリは、カラヴァラを読んでみたいと思った。
　アッキが帰るころ、マルティがカトリのために本を持って来た。その本は、カレヴァラだった。難しい言葉もたくさんあったが、カトリは夢中で読んだ。しかし、ヘレナがやって来て、カレヴァラの本を取り上げた。その本は、マルティがこっそりヘレナの本棚から持ち出したものだった。マルティは、あらためてヘレナに、カトリのためにカレヴァラを貸してほしいと頼むが、ヘレナは、「家畜番が本なんか読む必要はないわ。」と言って、承知しない。アッキは、その様子を見ていた。暇な時間に少しでも本を読みたい、というカトリの願いは意地悪なヘレナのおかげで叶わなかった。
　翌日、アッキは、自分が持っていたカレヴァラをカトリにプレゼントした。カトリはとても幸せで、この本を大事にするとアッキにお礼を言った。

第１４話「はじめての招待」

あらすじ

　カトリは牛の見張り中もカレヴァラを読みふけった。そこへ、ペッカとアッキがやって来た。ペッカは家畜番が本を読む意味がないと言った。アッキは、「君は一生家畜番をやってるつもりかい？」と言った。カトリは、自分が将来何をしたらいいのか分からなかった。アッキは、時代は動いていること、そして、ロシアの支配化にあるフィンランドは近い将来独立するだろうこと、新しい時代に対応するためには勉強が必要なことを力説した。また、カレヴァラにはフィンランド人の心が書かれているとも言った。しかし、カトリやペッカには初めて聞く言葉ばかりだった。ただし、アッキは、フィンランド独立の話は、いまは大人の前ではしないよう注意した。カトリは、いろんなことを知りたいと思った。カトリは今朝の自分と、夕方屋敷に帰っていく自分とはずいぶん変わったいう気がした。
　カトリのおかげでウッラの病気が治ったと考えたテームとウッラは、お礼に、あさっての日曜日を一日休みにしてくれた。その翌日、マルティが牧場にやってきた。カトリのために、姉から本をもらって、別荘に持ってきていた。カトリは、明日の休みに、マルティの別荘に本をもらいに行くことにした。マルティからその話を聞いたアッキは、マレティに、カトリとマルティを自分の別荘に招待しようと約束した。
　日曜日、カトリとマルティがアッキの別荘に行く途中、１台の自動車が通り過ぎた。カトリたちがアッキの別荘に着くと、その自動車が止まっていた。３人の男がアッキを逮捕して連行するところだった。カトリは、アッキに、「どうして悪いこともしていないのに連れていかれるんですか？」と尋ねた。アッキは、「考えれは君にはわかるはずだよ」と言った。カトリはその理由を理解した。それは、１９１５年８月のある日曜日のことだった。

名（迷）言集

フィンランド独立を語るアッキ「田舎では時の流れなどまったく感じられないが、時代はどんどん新しくなっている、今、フィンランドは生まれ変わろうとしている、この国は、長い間ロシアの支配下にあったが、近い将来フィンランドは独立する、フィンランド人のフィンランドになる。」「新しい時代が来て慌てないように勉強が必要だ、本は色々な知識を与えてくれる、考える事のできる人間を作ってくれる。」（まさか、こんな重いテーマが出てくるとは思いませんでした。）

カトリの休みに思いっきり遊べるとはしゃぐマルティに、ペッカ「金持ちの子はいいなあ、カトリ。」
ペッカの切ない想いがにじみ出ている。

第１５話「おもいがけないお給料」

あらすじ

　久しぶりに北の牧場に行くことを命じられた。崖に気をつけなければならないので、思うように本が読めなかった。カトリは、アッキのことを考えていた。そこへ、マルティがやってきた。夏休みももうすぐ終わり、明日ハルマ屋敷に帰る予定だった。マルティは、おばさんから、フィンランド独立運動をした人はたくさん逮捕されたと聞いていた。
　カトリは、マルティに、おじいさんとおばあさんに手紙を書いて届けることを頼んだ。マルティは、ちっとも学校には行きたくなかったが、カトリが「私、心から思っているの、学校に行きたいって。勉強したいの。勉強して世の中の事をもっともっと知りたいの、私。私、大きくなったら・・・」と言うのを聞いて、マルティは、カトリの心の中の熱い想いに胸を打たれた。そして、その希望を叶えてやれたらどんなに素晴らしいだろうと思った。でも小さなマルティは無力だった。
　そこへ、ヘレナがやって来た。予定が変わって、今から出発すると、マルティを呼びに来たのだった。マルティが手紙を預かれないことを謝ると、ヘレナは、カトリに「家畜番は家畜番らしくしていることね。」と言って、さっさと帰った。カトリは、ヘレナをかわいそうな人だと思った。
　午後、激しい雷雨が降った。おかげで、マルティはその日は帰れなくなった。屋敷に戻って雨に濡れた服を乾かすカトリに、テームとウッラは給料として普段着の服をプレゼントした。それは素敵なオレンジ色のワンピースだった。
　翌日、その服を着て仕事に出た。カトリは、マルティに手紙をことづけるため、仕事中に屋敷に戻った。牛の番は、マルティとペッカがやってくれた。

第１１話 「喧嘩」

第１２話 「手紙」

第１３話 「素敵な贈り物」

第１４話 「はじめての招待」

第１５話 「おもいがけないお給料」

第１１話「喧嘩」

第１２話「手紙」

第１３話「素敵な贈り物」

第１４話「はじめての招待」

第１５話「おもいがけないお給料」